はじめに
HPに御来訪頂きありがとうございます。
ここでは、主に日本のアニメが世界でどのように消費されているのかについて調べたデータ等を載せていきます。
調査期間は2009年の11月4日から12月9日までで、調べた国はフランス・スウェーデン・スペイン・イタリア・ギリシャ・ハンガリーの6カ国になります。
調査対象は、日本語学校・国際交流基金の生徒や、大学のアジア研究や東洋研究の日本専攻及び語学翻訳コースといった日本に興味を持っている生徒を中心としました。
アンケートに協力頂いた大学や機関は以下の通り
| スウェーデン: | ストックホルム大学 | 計95人 |
| スペイン: | バルセロナ自治大学・日本語学校BONSAIKEBANA | 計101人 |
| イタリア: | ローマ大学・ローマ日本文化会館日本語学習コース | 計129人 |
| ギリシャ: | アテネ大学外国語講座日本語コース | 計68人 |
| ハンガリー: | カーロィ・ガーシュパール大学・国際交流基金日本語講座 | 計111人 |
ちなみに使用したアンケートは英語のみで、以下のファイルになります。
誤字や表現について回答者から色々と指摘を受けたものです。今後また集める機会があったらその時は修正した質問紙を使って行きたいと思います。
img/englishquesstionnearfainal2.pdf
また、今後はまとめたデータ等をアップしつつ、訪れた大学や交流した人達との旅行記的なものも公開していきます。
このようなホームページを作ったのは初めてなもので、文章が読みづらい、図表が見づらい、というところが出てくるかもしれませんが、その時は何かご指摘いただければと思います。
それでは、早速海外のアニメ好きはどのようにアニメを消費しているのか見ていきましょう。
視聴時間

まずはアニメの週平均視聴時間です。3時間ずつで区切ってあります。
日本ならば、「週に何本アニメを見たか?」で通じると思うのですが、本数の定義が分からないと思うからやめておいた方がいい、と指摘を受け、何時間という表現にしました。
事実、試しにバルセロナ自治大学でアンケートを取ってみたところアニメの本数の定義が分からない、と言う事で無回答が目立ちました。
しかし国ごとで回答人数に差が比較がしづらいため、一先ずパーセンテージで見てみましょう。

多少比較がしやすくなったのではなかろうかと思います。
ぱっと見た限りでは、回答者の人数に対してギリシャのアニメ平均視聴時間が長いことがわかります。
個人的にはアニメの人気が高いスペインやイタリア辺りが結構見ているのではと思っていたのですが、思いのほかスペインが一番アニメの視聴時間が短い結果となりました。
ではこの原因を考察するに当たり他のデータも見ていくことにしましょう。
字幕
それでは次はいったいどんな言語でアニメを見ているかについて見ていきます。

上のグラフは人数別に分けてあり、下のグラフはパーセンテージで表示させてみました。
画像のアップデートが上手くいかずぼやけて見づらいかと思いますが、何卒ご容赦頂たく思います。
さて、このグラフから国別での傾向が出てきました。
イタリア・スペインでは比較的母国語の字幕で見ている人が多いのに対して、ギリシャ・スウェーデン・ハンガリーでは英語字幕が圧倒的に多い結果となりました。
比較的人口が多い国では英語字幕から母国語字幕に翻訳したアニメがネットで流れるため、それを見るケースが多いことから、このような結果になったのではと思われます。事実バルセロナ自治大学では、アンケートの活動項目でファンサブの作成と答えた生徒もいましたし。
例外として人口が少ない国、例えばスウェーデンなどでは何の因果か頑張って日本語からスウェーデン語のファンサブを作成していた人がいましたが、その事については番外編で触れてみることにしましょう。
メディア
上の字幕に関する結果から、多分ネットで見ているんだろう、と予想するひとが多いと思われますが、実際のところどうなのかを見て行きましょう。まずはアニメを見るときTVをどれだけ使っているかを見てみましょう。

JETROのコンテンツ市場に関するレポートでも書かれている通り、イタリアやスペインではアニメは国民的に受け入れられているという事実が証明されたような結果となりましたが、自分としては予想外。使用率は置いておいて何らかの形でTVを通じてアニメを見ているひとが多いようです。
対して、ギリシャやスウェーデンではアニメを試聴する際にTVを使用する人は全体の30%以下となっていました。
ちなみに、ハンガリーではケーブルTVで日本のAnimaXが放送されているので、アニメを見る時のTVの使用率は高いかなと予想していたのですが、全体的にスペインよりもTV使用率及び使用者数が低い結果となりました。
後で視聴時間とメディアの関係をグラフ化していきたいと思いますが、まずは一通りの結果を見ていきたいと思います。
それでは、次はインターネットのストリーミングをどれくらい利用しているのか見てみましょう

TVと比べると全体的に使用率がかなり上がった結果となりました。
ついでにP2P等を利用して映像ファイルをダウンロードしてアニメを見ている人のダウンロード使用率を見てみましょう。

人数としてはストリーミングと同じくらいになりましたが、スペインではダウンロードを使用して見ている人がかなり増えた形となりました。
最後はDVDなどビデオパッケージの使用率です。

思いのほかDVD等でアニメを見る機会は多いようですが、使用率が1%や2%と書かれている数字も"1〜20%"の中に入れているため、ビデオメディアを使ってみているひとが多いように見えるだけで、四捨五入すればもう少し数は減ると思われます。
ちなみに、このDVD等のビデオパッケージは定義をしっかりと決めていなかったため、海賊版なのか正規版なのかそれともレンタルなのかは不明です。
アニメを試聴する際に使用するメディアでは、全体的に見るとやはりストリーミングやダウンロードと言ったインターネットを使用している場合が主流なようです。
このデータから現地で放送していないにも関わらず、何故かコンベンションではコスプレをしたり主題歌が歌われている、といった怪現象の端緒が明らかになったのではなかろうかと思われます。
以上、一先ず視聴時間、言語、使用メディアについて見ていきました。それでは次はアニメを見るときのきっかけや、初めて日本のアニメを見た年齢をアンケート結果から見ていくことにしましょう。
閑話休題 北欧のOB
アンケート結果を載せる前に、閑話休題と題し、旅行記的なモノを早速載せたいと思います。基本、宿と大学の往復や出版社等へのインタビューが主流の旅だったため、観光地巡りなどはまったく出来なかったのですが、面白い人達との出会いがあったので、それくらいは話のネタとして書けるだろうと思い、文書を認めました。
まずは北欧の国スウェーデンで会った翻訳家シモン・ランドストロームさんについてです。

写真の右側にいる人が翻訳家シモンさんです。
スウェーデンで出版された漫画の殆どを翻訳しており、またインターネットがあまり普及していなかった約15年程前に、日本語を学び日本に留学してLDやアニメ関連グッズを買いあさり、スウェーデン最初のアニメ・漫画サークル「漫画会」を立ち上げ、持ち帰ったビデオやLDにスウェーデン語字幕をつけて上映会を行っていたという魂の人。
他には日本留学中に無双神伝流居合を学んでおられたようです。
スウェーデン最初のアニメ・漫画サークル「漫画会」についてはまた後日語ることにしましょう。
さて、それではシモンさんの家にお邪魔した時の写真を色々と見て行きたいと思います。

上の写真はシモンさんが暮らしている築300年の家です。改築などを繰り返し、見た目は現代風ですが、骨子の部分は300年前から変わっていないそうです。



日本のアニメCD・LDとDVDに加え、更に会話が日本語のためこの家に滞在した時は海外にいる感じがまったくしませんでした。
ちなみに、シモンさんの個人的お宝は以下の三つのようです。



ところで余談ではありますが、シモンさんは私が所属している慶応アニメーション研究会のOBでもあり、今年の1月に開かれたスウェーデンのアニメコンベンション「Uppcon」ですでに邂逅は遂げていたため、特にインタビューをすることもなく、2日程お邪魔した際は只々アニメ談義に花を咲かせていただけでした。
他愛もない話でしたが、「KEY THE METAL IDOL」が一番好きなアニメで、特に吊木さんが大のお気に入り、という話から何故か「クリーミィマミ」50話の望月智充演出に話が飛び、そこからセラフィムを経て「少女革命ウテナ」の第29話中CM直後のシーンと「明日のナージャ」第26話の9分10秒前後で同じカット割りのシーンがあるという話をして、シモンさん宅のAV機器で問題のシーンを確認したり、お土産で持っていった東方の同人アニメを見たり、最後はかみちゅで締めくくったりと、なんともムダで楽しい時間を過ごしました。まさか北欧の地で細田守や望月智充の演出についてお話を聞く事ができるとは思っても見ませんでしたが、どうやって演出や絵コンテに興味を持ったのかと聞いたら、昔アニ研で学んだことを今も忘れないようにしているとのこと。頭が下がります。
最後はシモンさんのアニメ視聴環境や漫画・同人誌などを載せて終りとしましょう。





アニメを見るきっかけ
それではもとの話題に戻ります。今度のデータはアニメを見るきっかけです。
海外では、どういう情報をもとにアニメを見ることを決めているのかを見ていきましょう。

まずは人数比から。
質問項目に関しては、アニメ雑誌・友人知人等から・漫画を読んで・SNSやブログ・アニメ情報サイト・コミックショップでのプロモーション・ランダム(適当に見て気に入ったら全部見る)・その他、となっています。
それではパーセンテージでも見てみましょう。

全体的に共通しているのが、友人や知人からの情報によってアニメを見ているケースが多いようです。
そして「漫画を読んで」アニメの存在を知る、という項目でスペイン・イタリアとその他3カ国で差が出ているのがおもしろい傾向です。
これに関しては、言ってしまえば漫画の入手難易度が原因なのではなかろうかと思われます。
イタリア・スペインでは日本の漫画が定期的に現地の出版社から大量に出版されており、スペインでは一般書店で、イタリアではキオスクで簡単に購入が可能だったりします。
値段に関しては、スペインは日本と同じような装丁で、カバーなどをつけて少々高めの7ユーロ、イタリアでは品質を押さえて4ユーロで販売されています。今回はフランスのデータは有りませんが、フランスの漫画出版もスペインと似たような装丁と値段で売られています。また広告やポスターを店頭で配ったりポップを立てたりと告知に余念がなく、漫画の情報を手に入れやすい環境が作られているのではと思われます。
ちなみに下の写真はフランスのコミックショップで行われている新しく出版される「黒執事」等のプロモーション活動です。


そして他の3カ国では現地でも日本の漫画は翻訳出版されているのですがタイトルが少なかったり、出版サイクルが不定期だったりと色々と問題があり、しかも英語が読めるということから専らアメリカからの輸入に頼っているようです。(ちなみに、スウェーデンでは2010年に翻訳出版される漫画はワンピース・NARUTO・名探偵コナンの3タイトルのみだそうです)
また、海外輸入のために値段も高く、ギリシャでは安くて9〜11ユーロ、平均13ユーロ、ハンガリーでは2600フォリント(1フォリント=約0.5円)、スウェーデンでは110クローネ(1クローネ=約13円)と、どこも皆日本円換算で1000円超と値段が高く、そうそう気軽に買える代物ではありませんでした。しかも売る努力は0。
入手難度のみが問題ではないのですが、ぱっと思いつく原因らしきものがこの事だったので一先ず書いた次第です。
最後に、「その他」の項目なのですが、これを選んだ人は監督やキャラクターデザイナーといったスタッフ情報をもとにアニメの視聴を決めている人達でした。アニメに情熱を注ぐ人はどこの国にも少なからずいたことに感動を覚えました。